12月1日のコンサートでお配りしたご挨拶レターです。
今更ながらですが、
今年の最後の真面目な締めくくりと致しまして。
【ごあいさつ】
『上松明代のフルートと作曲の世界』開催から、早5年。
月日の流れは、はて、早いのか遅いのか。
どちらにしても初年度に記した挨拶文を読み返し、
そこに書かれた「筆が遅く(作曲のスピードが遅い)」という一文を懐かしく感じています。
人は何歳になっても成長できるものです。
そこに「情熱」がある限り。
情熱は私たちを行動に移し、努力する力を与えてくれます。
そして成長とは、
失敗や挫折を「経験」や「知恵」という形に変え、
その全ての体験は「自信」へと繋がります。
しかし、人とは弱い生き物でもあります。
人の意見や世間の所見に惑わされたり、
楽な方へ楽な方へ流されて行く。
御多分に洩れず、私自身も右に同じです。
気分屋で怠慢な性分とは一生付き合っていかなければならないのでしょう・・。
それでも、自分の中にいつも燻り続ける情熱の火は消えない。
出来ない理由を探す前に行動したい。
そんな想いに支えられながら今日もまた筆を取る日々です。
人生の節目ごとにステージがあり局面で考えること、
考えさせられることが山のようにあります。
今年、関西は様々な天災に見舞われました。
豪雨、地震、台風・・・。
幾日、不安な夜を過ごしたことでしょう。
そんな時もう一度、音楽のあり方に向き合いたいと思いました。
舞台に立つ者は俯瞰的であってはならない、
そして観客が本当に求めていることを提供出来ることが最善である。
当たり前のことで、芸術という分野ではとても難しいことでもあります。
私が理想とする音楽の型は、
音楽に「鼓舞」され「癒され」、
「カタルシス」へ導く。
そして人生に「精彩」をもたらす。
そのような音楽制作、演奏を目指し私たちは音楽に向かい合っています。
この所望が「音」となり、
みなさんへ届けば、幸甚に存じます。
最後に、
私が尊敬する医師であり文筆家、
神谷美恵子の『生きがいについて』という随筆からの抜粋です。
ー 未来がひろびろとひらけ、前途に希望の光があかるくかがやいているとき、その光に目を吸いつけられて歩くひとは、過去にどのようなことがあったにしても、現在がどんなに苦しいものであっても、「すべてはこれからだ」という期待と意気込みで心に”はり”をもって生きて行くことができる。現在の幸福と未来の希望と、どちらが人間の生きがいにとって大切かといえば、いうまでもなく希望のほうであろう。
本日もお越し下さり、誠にありがとうございます。
皆さんに会えたこと、
そしてこのご縁に感謝です。
メンバー一同、
またいつの日かお目にかかれる日を心待ちにしております。
オフィス Tempo.F 代表 上松明代