モーリス・ラヴェル。
19世紀〜20世紀に活躍したフランスの作曲家。
お、精悍で垢抜けた顔立ちだな。
「ボレロ」とは、スペインで生まれた3拍子の舞曲スタイルなんですが、
『ボレロ』という曲は頭で流れてもそれが「ラヴェル作曲」と認識している人は意外と少ないはず。
モーリス・ラヴェルは22歳で同じフランス人のフォーレという作曲家に学び
(フォーレは一般的ではないかもしれないですが、彼も素晴らしい作曲家です)、
マラルメやポーの文学を愛し(私もポーが好きです。エドガ・アラン・ポー)、
エリック・サティの音楽に深く影響を受けた。
その才能の斬新さに当時は異端児扱いをされ、
作曲家としての一定の評価を受けるまでには多くの苦労と多難があった。
文学を愛したラヴェルらしく、曲のタイトルもなんだか素敵なものが多い。
例えば『鏡』『マ・メール・ロワ』(フランス語で「マザーグース」の意味)
『ダフニスとクロエ』『亡き王女のためのパヴァーヌ』『夜のガスパール』
etc・・・。
(ちなみにピアノ曲『夜のガルパール』のアルゲリッチの演奏が素晴らしい!!)
私もオリジナル曲のタイトルには凝る方なので、それが文学の影響だとすると、
乱読も悪いことではないな。と思う。
さてさて『ボレロ』。
➡『ボレロ』モーリス・ラヴェル YouTube
元はバレエ音楽として作曲された曲。
曲の出だしは低音弦部がピチカート(弦を弓で擦らず指で弾く奏法のこと)の3拍子の乗って、
小太鼓のソロがリズム主題を鳴らす。
その繰り返しが3回目に入った時に、フルートが主旋律を吹く。
そのあとも楽器の組み合わせを変えながら常に一定のリズムで、2種類の旋律が繰り返される曲。
繰り返される音楽と言っても、先日書いた「ミニマムミュージック」とは異なる
(あれは楽器編成など全てがまったく同じ繰り返し)。
2つの旋律が編成を変えながら繰り返されるこの『ボレロ』であるが、唯一変化するてんは、「音の強弱」。
同じ反復が次第にクレシェンドされ(強められて)曲の終盤へと入る。
このどんどんクレシェンドされていく様子が非常に官能的で、
まるで魂が鼓舞し昇天するかのごとく感じる。
反復が「魂の熱狂」のように聴こえる。
実は私も以前、ボレロ形式で作曲を試みたことがあるのですが、
どーーーしてもラヴェルの『ボレロ』が頭の中から離れず、諦めたことがある。。
(またいつか再チャレンジしますが・・)
それほど、一度聴くと印象に残る忘れられない曲。
そんな輝かしい曲たちを書いたラヴェルですが、晩年は認知症だったという説がある。
62歳死去。
葬儀にはあのストラヴィンスキーやプーランクも立ち会ったそう。
私のラヴェルの印象は、
ハイセンスなエスプリと青い炎を持ち合わせた作曲家。