(曲解説、下記)
私がフルートを始めたきっかけは「中学生の時に吹奏楽部で担当した楽器」、
と管楽器奏者ではよくある理由。
私の所属していた中学の吹奏楽部はお世辞にも上手いとは言えず・・・😓
むしろ、下手。でした。残念ながら。。。
西宮市などの上手い吹奏楽部の演奏を聴きに行っては、
「何故こんなに上手いのか!?」と疑問に思い、悔しくて必死にフルートを練習したものです。
でも吹奏楽なので一人だけが上手くなってもダメなんですよね・・・・。。。
皆で士気を高めないと!
そんな気持ちだけが上滑りした吹奏楽部員でしたが、私が中学2年生の頃、
チャイコフスキーの『スラブ行進曲』を演奏した。(原曲はオーケストラのための曲)。
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーは19世紀にロシアで活躍した作曲家。
代表曲は有名なものでバレエ音楽『白鳥の湖』や『くるみ割り人形』、
『ロメオとジュリエット』and more…。
私は彼の音楽が好きだ。
いつもどこかに哀愁が漂う。
メランコリーな民族性を感じる。
自らの心の闇や時代の残酷さと共存し生きていた音楽が見える。
それが私にはものすごく魅力的に聴こえる。
しかし専門家から言わせると、彼の音楽は「実にあざとい」らしい。
メロディーラインやオーケストレーションが、
「きたぞーきたぞー!いかにもきたぞー!」とストレートすぎるらしい。
確かに・・・💧これはオーケストラのスコアを見るとわかるのですが。。
なんとな〜く、大衆(もしくは商業)音楽作曲家に位置付けられる傾向にある
(実際は違います。クラシック音楽界できちんと名前が残っていますからね。事実、クラシック演奏会で頻繁に演奏されていますし。)。
何度も言うが、それでも私は好き。彼の「あざとい」音楽が。
感情にストレートに入り込む音楽、安心して聴いていられるメロディー、決して裏切らない展開。
幼少期に彼の音楽を聴いて思った。
「なんて悲しくて美しい曲なんだろう。」と。
子供の心を揺さぶる音楽、あざとくて結構!
チャイコフスキーは「民族」というアイデンティティーを強く意識していた作曲家である。
これは例えば、チェコのドボルザークやハンガリーのバルトークなんかにも言える。
しかしチャイコフスキーの場合は、ロシアの香りが強く漂う上に、より情緒的で、メロディーが美しい。
それは彼がバレエ音楽を書いていたからかもしれない。
バレエはオペラと異なり、「聴かせる」(聴覚)より「見せる」(視覚)ことで全体が統一される。
だからわかり易いといえば、わかり易い(想像しやすい)。
華やいだ情緒ある音楽。
タイトルの『スラブ行進曲op.31』はそんなバレエ音楽とは一線を画す。
〜作曲の動機(曲解説)〜
1876年当時オスマン帝国(トルコ)の圧制下にあったバルカンの一国ブルガリアに暴動が起こる。
即ち、ここに革命委員会が生まれてトルコの支配と戦う。
しかし、トルコはただちにこれを弾圧し、多数の民族独立に立ち上がったブルガリアの愛国者達が殺される。
この事件は全世界のリベラルな人々の間に強い憤りをもたらしたが、
とくに同じ民族に属するロシア人の同情は深かった。
やがて、バルカン諸民族の独立運動はさらに激しく広がる。
そして1876年夏には、セビリアとトルコの戦争となり、同年秋、ロシアでも義勇軍が召集され、
セルビア独立を援助する。
この一連の事件はロシアでも大きな社会的、思想的問題となり、モスクワのニコライ・ルービンシテインは、
セルビアにロシア義勇軍を送り、負傷兵を救援するスラブ慈善委員会のために、
大音楽会を開催することになる。
そしてこの音楽会のための作曲をチャイコフスキーに依頼した。
あぁ、解説長かった。。。
(今、ちょうどロシアとトルコの関係、悪化してるし・・歴史は繰り返す?いやいや。。)
ロシア社会の当時の気分に完全に同情をよせていたチャイコフスキーは、
この音楽会のために特別に作曲してくれというルービンシテインの申し出を喜んで引き受け、
情熱を持って仕事に着手した。
尚、この曲は最初『スラブ民族的主題によるセビリア・ロシア行進曲』というタイトルであったが、
のちに、『スラブ行進曲』と改題された。
*参考文献は全音の「スラブ行進曲」スコアより
言うなればこの『スラブ行進曲』は、ロシア義勇軍にエールを送った曲だった。
確かに、「争い・戦い」という憂いを含んだメロディーの中に、
有志を奮い立たせる強さが感じられる。
バーンスタイン指揮の『スラブ行進曲 op.31』
一度、聴いてみて下さい。
なんとなく泣きたくなるような、込み上げてくるものを感じられる曲です🎵
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